どこでもドア mini

開催されていた電子工作コンテスト2010に2作品応募していました。
8月からArduinoの勉強をしながら電子工作を始めて約4ヶ月。単なる技術習得だけでなく、アイデアを形にすることも必要なので、とにかく自分なりの作品を作ってみることにしたのです。
結果的には何も受賞できなかったのですが、自分的にはいろいろ収穫がありました。
で、応募作の1つがこの「どこでもドア mini」。




ドラえもんのどこでもドアを実現するのは困難ですが、ドアを開けると、目の前に知らない世界が広がっているというワクワク感をカタチにしたいと思い、作ってみました。


技術的には以下のようになっています。
1)白く塗装した箱の中にUSB接続の7インチ液晶モニタを設置。
2)箱とピンクに塗装したドアに曲げセンサーが渡してある。
3)ドアを開けると曲げセンサーの抵抗値が変わる。
4)Japanino経由でPCにドアを開けたことが伝わる。
5)PCでは画像の表示と効果音の再生を行うFlashが動作しており、画像はランダムで決定され、開く度に異なる画像と効果音を再生する。



イデア自体はすぐに思いついて、あまり捻らずにストレートに具現化しちゃいました。それが良いのか悪いのかは置いて、一つ分かったことがあります。それは、こんな単純なアイデアでも、いざ実現しようとすると想定外の様々な困難が生じるということです。例えば以下のような事態。


●箱の中には一昔前のUMPCを設置する予定で、Processingで作成したスケッチを走らせる予定だった。しかし実際にやってみると、Javaが重いせいか、まともに動かなかった。
●Funnel Server+Flash Playerだと問題無かったのでFlashで作成したが、なぜか突然Japanino/Arduinoからの信号を認識しなくなった。
UMPCを諦めて小型のUSBモニタを設置しようとしたが、箱(加工・塗装済み)に収まるサイズのものがなかなか無かった。通販でようやく見つけた。
●箱の塗装時、換気をちゃんとしなかったためか頭痛になった。


などなど、他にもありますがこの辺で。
要するに今回、発想よりも実現させるほうがずっと大変でした。もちろん全てのものづくりがそうではありませんが、アイデアそのものより、それを実現させる技術、行動力、そしてアイデアを信じる力が非常に大事だと痛感しました。


電子工作なんかを含め、特にインタラクションに関するアイデアは、そもそも説明だけでは分からない・伝わらないですね。動くもの作って見せなければ、相手は何が面白いのか理解できないでしょう。インタラクションデザインでは、発想力だけでなく、具現化する技術力・行動力も合わせ必要なんですよね。


一方で、自分の普段のデザイナーとしての仕事は、非常に偏ってるとも思いました。アイデアを説明する綺麗なプレゼン資料やモックを作っても、それで面白さを伝えるのは難しい。例えばAndroidアプリやArduinoを使ったインタラクションなど、実体験できるものに具現化して、「コレ使ってみて」とポンと渡せる位が良いのかなと。


そうなると、私も含めインタラクションを扱うデザイナーは、同時にエンジニアも兼ねる必要が出てくるんですね。いわゆるエンジニアデザイナー的な。だから、単にアイデアが出せて、フォトショやイラレが使えてKeynoteでプレゼン作れます的なデザイナーの時代は、もう終わったのだなと、思いました。誰に対する批判とかではなくて、私自身が早急に変わる必要があることを痛切に感じました。ということで、いまやっているAndroidプログラミングやArduinoを活用したハードウェアスケッチの勉強は、単に夢を追うというだけでなく、デザイナーとして成長するという観点からも有効な活動であると認識しました。



さて、賞も貰えなかったのにいろいろ語ってしまいましたが、自分としては楽しく工作できて、そのうえ上記のような認識も得て、充実した活動ができました。今後も作る活動と勉強を継続してゆこうと思います。